『Q&A思春期のアスペルガーのための恋愛ガイド』

Q&A思春期のアスペルガーのための恋愛ガイド

台風のお休みに図書館で『Q&A思春期のアスペルガーのための恋愛ガイド』(ジーニー・ウーレンカム著、木全和巳・田倉さやか訳、福村出版、2012年)という本を読んだのでちょっと紹介です。

人を好きになったり、恋愛関係を始めること、続けること、終わらせることは、誰にとっても難しいことです。

人間関係が苦手だと感じているアスペルガーなどの発達障害を持った人にとっては、恋愛は特に複雑で困惑することの多い体験かもしれません。

ADHD傾向のある若い人にとっても、お互いのペースや気持ちを合わせるのは難しいと感じられることが多いと思います。この本は、アスペルガー的な傾向をもった思春期・青年期の若い人たち向けの「恋愛ガイド」です。

彼女がぼくのことを好きかどうか、どうやってわかるの?
彼をデートに誘う
感覚の問題があっても、デートってできるのかな?
どんなことを話せばいいの?
アスペルガーであることや。私自身が誰かとつきあうことにどんな意味があるの?
彼のすることが私をイライラさせる
独占欲が強くなる
けんかをしちゃった
怒りの問題
セックスをするかしないか決める
電話で別れを告げてもいい?
まだ元カノのことが好き
誰ともつきあわないのはおかしいこと?
ぼくはゲイ?
言わない方がいいことってあるの?

といった質問に、Q&A方式で、友達あるいは少し年上のお兄さん、お姉さん(ぽい人)からのアドバイスが書かれていました。

発達障害があってもなくても、困ったり迷ったりすることのあるテーマが並んでいます。

見開きの2ページに質問に対するアドバイスと、「話し合ってみよう」「大切なこと」というコーナーがあります。

「話し合ってみよう」のコーナーでは、たとえば「抱きしめられることが好きではないことを、失礼のないように相手に伝えるにはどうしたらいいでしょうか」といったような、グループで話し合うきっかけになるようなテーマが挙げられています。

「大切なこと」では、
「感覚の問題をもっていたら、あなたにどんな問題があり、何を必要としているのかということをちゃんと理解して、それを相手に説明して、問題の対処法を考えるようにしましょう」
などと、ポイントが伝えられています。

自分自身をよく知って、自分のからだと気持ちを大事にすること、そして自分の気持ちをちゃんと伝えること、相手も大事にすることといった、社会で生きていく上で必要なことを、わかりやすく教えてくれる本でした。

個人的な感想を言えば、この本を読んで、自分の若い頃の失敗や困りごとや恥ずかしいことを「あるある」とたくさん思い出して、いささか恥ずかしい気持ちになりました。

まあたいていのことは何十年か経てば「そんなこともあったっけ」と懐かしい思い出になるもので、むしろうまくいかなかった体験の方が、自分の人生の輪郭を描き出しているようにも感じます。タイムマシンで戻れるものなら、もうちょっとうまくやれるんじゃないかとはちょっとは思いますが。

 

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