不安神経症(全般性不安障害)の症状と治療

不安神経症(全般性不安障害)とは

「神経症」という言葉は、現代では正式な医学用語としては使われなくなってきました。

今の精神医学の診断で言えば「パニック障害」や「全般性不安障害」などが不安神経症に該当します。

不安とは漠然とした恐れなどの感情で、誰でも体験したことがあるものです。たとえば北海道の山奥を1人で歩いていて、「熊が出るかもしれない」といった状況であれば、多くの人は不安を体験するでしょう。

ところが「玄関から一歩外に出るのも不安」「なにもないのに不安でしかたがない」と過度な不安を長時間体験する人もいます。そうした不安によって、日常生活や仕事に差し障りがでるようになると、「全般性不安障害」と病院で診断されることになります。

パニック障害は、「パニック発作」「不安発作」というような急性の不安症状が特徴ですが、「全般性不安障害」の場合は慢性的な不安を感じており、「自分に自信がない」「いつも緊張やストレスを感じている」「頭痛や息苦しさがある」といったことに悩まされます。

症状と原因

全般性不安障害の症状としては、他に次のようなものが挙げられます。

心に表れる症状だけでなく、さまざまな身体症状が見られるのも特徴です。患者さんにとっては、むしろ身体症状のほうが気になることが多く、「どこかが悪いのでは」「重い病気だったらどうしよう」と、病院をいくつも受診することもあります。

ところが症状の原因となるような身体疾患が見つけられず、「問題はありません」「様子を見てください」と言われて帰されることも多く、かえって不安がふくらむこともしばしばです。

全般性不安障害は、神経質で不安をもちやすい性格や気質の人に多く見られます。5因子性格理論でいうところの「神経症傾向(情緒不安定性)」が高い人が、仕事や生活におけるストレスを受けたときに気がつけば発症しているということが多いと思われます。また、身体的な疾患や経済的な問題がストレスとなって発症することもあります。

不安神経症の薬物療法

心療内科や精神科を受診して、「全般性不安障害」との診断を受けると、お医者さんによる精神療法と薬物療法がおこなわれます。

薬物療法としては、抗不安薬や抗うつ薬が用いられることが多いと思われます。

また、医師は、不安障害の症状や治療、経過について伝えたり(心理教育とも呼ばれます)、ストレスや心配事について聴いて支持的に関わってくれるでしょう。

不安神経症の克服

一般的なことではありますが、過労や睡眠不足は不安障害の悪化の大きな要因のひとつです。しっかり寝て、休むということが、不安障害の克服のためにまず必要でしょう。

もちろん、バランスのよい食生活や、適度な運動なども、いい影響を与えます。

このように、生活習慣を整えたうえで、呼吸法や筋弛緩法、自律訓練法などを学ぶと、不安をよりコントロールしやすくなります。認知行動療法や森田療法など、不安障害に効果があるとされている治療法の本を読んで、できそうなところから取り組んでみてもいいでしょう。

認知行動療法は、うつ病の治療に効果があるといったことで、最近テレビなどでも取り上げられることが増えてきました。うつだけでなく、不安障害の治療のエビデンスも積み上げられている方法です。簡単にいえば、ものごとのとらえかた、考え方(これを認知と言います)を変えていくことで、不安を軽減させます。不安障害の人は「きっと失敗するに違いない」「うまくいかなかったらどうしよう」とネガティブに考えすぎる認知の癖があることが多いので、その癖をより適応的に修正していこうとします。

森田療法とは、日本の精神科医森田正馬が1910年代に考案した精神療法です。「不安は自然なものであり、なくそうとしてもなくならない。不安にとらわれずに、目の前のやるべきことをひとつずつやっていく」といった考え方です。

カウンセリングの役割と効果

症状が少し落ち着いてきたころにカウンセラーによるカウンセリングや心理療法が導入されると、再発防止やより根本的な解決に近づくことができる場合があります。

詳しくは、パニック障害・不安障害のカウンセリングをご覧ください。

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