神戸・芦屋・西宮のカウンセリング・かささぎ心理相談室|臨床心理士
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神戸散策(生田の森編)-ぐるぐる思考とパワースポット

生田の森を散歩

寄り道や徘徊がけっこう好きなので、時間があると街や郊外をうろうろします。

いくつか、お気に入りというか、居心地のいい場所を見つけておくと、ちょっとした空き時間に行って、ぼんやりすることができます。

先日、散歩したのは、神戸・三宮の生田神社にある「生田の森」でした。

駅からすぐそばなのに、ここだけちょっとした別世界のような雰囲気です。

神戸・三宮|生田の森の神木

幾たびもの戦災、震災を乗り越えてきた鎮守の森で、大人が何人かで抱えても腕が回らない大木がいくつかそびえたっています。

『枕草子』に「森は大あらきの森、信太の森、生田の森」と記されていて、源平合戦で平家軍が陣を構えた場所としても知られているそうです。きっと昔はもっと大きな森だったのでしょうね。

とりわけ太い楠の切り株は、昭和20年の神戸大空襲で焼けてしまいましたが、再び蘇ったため、再生や復興のシンボルとされています。

「神戸のパワースポット」として取り上げられることもありますね。

パワースポットとは

ところで「パワースポット」って何でしょうか?

スピリチュアルな分野の話かと思っていたのですが、この頃ではずいぶん身近に語られたり、雑誌で特集されたりしているようです。

1990年代くらいから使われ始めた言葉で、精神的な活力を与えてくれたり、運気をよくしてくれる場所、といったくらいの意味だそうです。

「聖地(sacred places)」や、風水でいう龍脈や龍穴とも関連しているのでしょうが、「パワースポット」の方がよりライトな感覚で用いられているという印象です。

パワースポットとされる場所は、神社や仏閣、古墳や史跡、あるいは山や洞窟、滝などが中心です。

仕事や普段の生活とは少し違う雰囲気で、歴史や自然を感じさせる場所が多いようです。

人は何を求めてパワースポットを訪れるのかということを尋ねた調査では、次のような結果が得られたそうです(1)。

  1. 開運祈願、運気(恋愛/健康/勉強)向上のため
  2. パワー(気分の高揚/自信/救済)を求めるため
  3. 癒し(安らぎ/落ち着き)を求めるため
  4. 気分転換(リフレッシュ/気持ちのリセット)のため
  5. 観光・レジャーの一環として
  6. 気休めとして

安らぎや自信、あるいは気分転換などの、メンタルな理由が多くを占めているのですね。

自然の中を歩いてぐるぐる思考(反芻思考)を止める

都会と比べると、神社や仏閣なども自然を感じさせる場所です。

森などの自然の中を歩くだけでも、うつ病の改善など、メンタルヘルスにいい影響を与えることが研究であきらかになっています(2)。

自然を歩いている最中は、思考の反すうが減り、脳の前頭前野の活動が低下していた(これは、あまり悩まなくなったということを意味しているそうです)のです。

思考の反すうについては、以前にも書きました。

誰が言い出したのか分かりませんが、「ぐるぐる思考」と呼ばれることもあります。

頭の中を同じ考え(たいていネガティブなことです)がぐるぐるぐるぐると堂々巡りして、疲労困憊してしまうようなことです。

森などの自然の多いところを散歩しているだけで、「ぐるぐる思考」がずいぶん減るのですね。これは、経験からもそうだと感じます。

まったく悩まなくなるわけじゃないのですが、部屋にこもって考えるのとはずいぶん違います。

歩きながらだと、木々や空などの光景が目に飛び込んできますし、風を感じたり、鳥のさえずりが聴こえてきます。

五感を通じて現実にコンタクトしつづけているので、「思考」に呑みこまれてしまわなくてすむのです。

「前に向かって歩いている」という身体的な活動もいい影響を与えていると思います。

欧米の電話相談では、「死にたい」と電話してくる人に対して、まず「天井を見上げるように」と言うことがあるとどこかで聞いたことがあります。

死にたいと思うほど落ち込んでいるときには、たいてい、肩を落として床を見つめていることが多いのです。

そういうときに、上を見上げるだけでも、気分が少し変わることがあるのだそうです。

「上を向いて歩こう」とか「前向き」といった言葉は、実際に身体を使ってみると、いちばん実感できるのです。

場によって自分の気分を調節する

自分の感情や行動を、コントロールしたり、調整する心の働きを、心理学では「自己制御」と呼びます。

感情や気分は、自分ではなかなかコントロールしにくいものです。

でも、「どこにいるか」「どういう行動をするか」ということは、自分の意志でコントロールすることができるのです。

自分が落ち着く場所、誰とも関わらなくていいところに行って、しばらくの間、独りで過ごすということは、人との距離を適当に調整したり、自分の感情を安定させることに役に立ちます。

落ち込んでいるとき、うつのとき、あるいは不安でいっぱいのときは、動くのもしんどいこともあるでしょう。

でも、同じ落ち込むにしても、場所を少し移動するだけで、気分はずいぶん違ってきます。

できれば、お気に入りの場所、独りになれる場所、自分だけのパワースポットが見つかるといいですね。

評判よりも、「ここが私の場所だ」という自分の感覚や直感に従うのがコツです。

 

それはそうと、生田の森にもポケモンがたくさんいるみたいで、ポケモントレーナーたちが散策してました。パワースポットとポケストップって、けっこう重なっているみたいです。

 

【参考】

(1)小寺敦之, パワースポット」とは何か ―社会的背景の検討とその受容についての予備的調査―, 東洋英和女学院大学人文・社会科学論集 第 29 号, 2011 年

(2)Gregory N. Bratman et al., Nature experience reduces rumination and subgenual prefrontal cortex activation, PNAS, July 14, 2015 vol. 112 no. 28

(3)田中平八, 青年期における自己制御 (self-regulation) の場についての環境心理学的研究, 総合都市研究第 60号, 1996年

 

***

かささぎ心理相談室は、神戸・芦屋・西宮のカウンセリングルームです。来談される方に、「ここが私の場所だ」と感じていただけるような、ほっとできるところになればいいなと願っています。

 


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