神戸・芦屋・西宮のカウンセリング・かささぎ心理相談室|臨床心理士
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バウムテストとじぶんの木

バウムテスト

バウムテストという木を描いてもらう心理テストがあります。

「テスト」と名づけられてはいるものの、客観的に何かが分かるというようなものというよりは、描き手の体験している世界を、言葉にならない雰囲気も含めて伝えてくれるような方法です。描かれた木を見ていると、のびのびとした感覚が体感的に伝わってきたり、あるいは逆にちょっと縮こまった感じだとか、不安やイライラ感などがわいてくることがあります。

そのような主観的な感覚や体験を手がかりにイメージをふくらませて描き手の体験世界を理解しようとするので、木がテーマになっている物語や絵本を見つけるとついつい興味深く読んでしまいます。シルヴァスタインの『おおきな木』などがよく知られていますね。

 じぶんの木

先日読んだ『じぶんの木』(最上一平)という絵本も、タイトルのとおり木をテーマにした作品でした。

主人公は、ある山奥の小さな村に住むわたるという名前の男の子です。過疎の村で子どもの数もどんどん減っていき、今では小学生はわたるひとりきりになってしまいました。わたるが「伝じい」と呼んで慕っているのは93歳になるひいじいちゃんです。昔は熊撃ちをしていた伝じいは、山の不思議や熊の思い出をたくさん語ってくれます。雪山に迷って穴倉にもぐりこんだらそこに熊がいたことや、鉄砲で撃ったあとはいのりの言葉をささげて熊のたましいを山の神さまに帰すといった話を聞いて、わたるは人と自然のつながりについて学んでいきます。

そんな伝じいもだんだん身体が弱って床に伏せることが多くなってきました。

「思いのこすこともなくなった」という伝じいに、わたるは「伝じいが死んじゃったらさみしいよ」「死んだら、伝じいはどうなるの?」と尋ねます。

すると伝じいはこんな話をしてくれます。

人が生まれると、どこかに同じように木が芽を出す。なんの木か、どこの山にあるのかはだれにも分からない。けれどたしかにじぶんの木というものがかならずある。

「じいちゃんが死んだって、じいちゃんの木は、どこかで生きつづけている。(・・・)んだから、ちっともさみしくはねえのよ」

この話が、伝じいがわたるに届けた最後の言葉となりました。

伝じいが死んでしまった後、わたるは山で大きな木を見るたびに「あれが伝じいの木ではないか」と思うようになりました。

わたるの想像では、山のどこかに、深く根を張って立っているその木のまわりには三十二頭の熊(それはかつて伝じいが撃った熊の数です)が、ごろごろしたり走り回ったりして遊んでいます。伝じいはそれをながめて静かに笑っているのです。

「じぶんの木」という物語を介して、わたるは伝じいの死を悼みながらも対話を続けているようです。そして、その対話はわたる自身の「じぶんの木」を育ててもいるように思われます。

たまには、山のどこかにある「じぶんの木」に栄養を届けるような、そんな時間をもちたいなといったことを思った絵本でした。(久)

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