心理療法士の性格特性と治療志向性


Psychotherapists’ personality traits and their influence on treatment processes and outcomes: A scoping review

by Ashleigh C. Fletcher, Jaime Delgadillo

心理療法士の性格特性と治療過程および結果に対するその影響。スコーピング・レビュー

「先行研究では、患者の性格特性が心理療法のプロセスやアウトカムと関連することが示されている。しかし、治療者の人格特性との関連性についてはあまり理解されていない」

という背景があって、だったら治療者の性格と治療プロセスやアウトカムがどう関連しているか調査した研究をscoping reviewしてみましょうという研究です。

「スコーピング・レビュー」とは、

“ScRとSRの主な違いは、SRは明確に定義され絞り込んだ臨床的疑問に対処することにあり、一方ScRは、主要な問題と結果に広く焦点を当て広範囲に文献を検索し、その結果特定されたエビデンスを要約します。ScRが適用される場面は、一連の文献がまだ包括的にレビューされていない場合、またはSRを実施できない場合、たとえば解決したい臨床的疑問が広範囲で複雑なトピックの場合やエビデンスのばらつきが非常に大きい場合などがあります”日本蘇生協議会 https://www.japanresuscitationcouncil.org/scr/

ということで、あるテーマについてざっくり研究を調べてみましょうって意味ですね。

データベース(Scopus、PsycINFO、Web of Science)を検索して、27の研究を検討したそうです。

結果
治療者の人格特性の影響を、治療志向、対人関係スキル、治療者の能力とスキル、モデルの忠実性、治療成果、治療同盟、治療者の幸福との関連で検討した。その結果、治療者の性格特性は治療的志向の選択と対人関係スキルに関連することが示されたが、臨床成果との関連については様々なエビデンスがあることが示された。

結論
治療者の性格特性は、治療志向や対人スキルに関連している。しかし,治療者の性格特性が治療過程や治療結果の他の側面に影響を与えるかどうかは依然として不明である。

性格特性って、多分Big Fiveなどで測定した研究が多いだろうから、対人スキルと関連しているのはまあそうなんでしょう。外向的か内向的か、協調的かどうかっていうあたりですね。

そしてセラピストの性格特性は、精神分析が好きとか認知行動療法がいいよねとか、家族療法に惹かれるといったような治療志向にも関連しているということ。

お医者さんの場合、選ぶ診療科によって性格が結構違うなんてよく言われたりしますが(研究もあるのですかね。知らない)、カウンセラーや心理士も、関心を持って選択するアプローチによっても「こんな感じの人が多い」くらいのことは言えるのかもしれません。

まあこういう研究って、ざっくりしたお話になりがちな気はします。

夜中にトイレの水がチョロチョロと止まらなくなって目が覚めてしまったので、トイレタンクの構造を調べるついでにリーダーに溜まっていた論文にチョロチョロと目を通してみました。アブストラクトだけですけど。

トイレ直します。

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