カウンセリングの始まりから終わりまで
申し込みから終結までの流れ
『カウンセリングQ&A』のコーナーです(よくあるご質問にお答えするかたちの文章をいくつか書いたので、シリーズものにしてみます)。
「カウンセリングでは、具体的にどんなことをするんですか?」
「ただ話を聴いてもらうだけ?」
カウンセラーと出会い、じぶんについて語るのは、とても勇気のいることです。だから、「どのように申し込めばいいのか」「どんなふうに進むのか」が気になるのも当然です。
「どこに相談したらいいのか」といったことについて知りたいという方は、
をご覧下さい。
カウンセリングの大まかな流れとしては、次のようなプロセスをたどることが一般的です。
申し込み
主治医やお知り合いから紹介されたり、あるいはご自分でインターネットで検索するなどして、よさそうなカウンセリングルーム(カウンセラー)候補が見つかったとします。
続いて、電話をしたり、メールや手紙を送るなどして、何らかの形でコンタクトを取る必要があります。
そして、困っていることや相談したいことなどを簡単に伝えて、カウンセリングを希望する旨を伝えましょう。カウンセラーに対して希望することなどがあればそれも伝えて、初回面接の日時や場所、料金などを確認します。
主治医の先生が、紹介状を書いてくれる場合もあるでしょう。
精神科や心療内科などに通院している方でしたら、主治医の先生とカウンセラーが必要なときに連絡できるのが望ましいこともあります。また、「心理テストを行なった後、ご本人の要望があれば、カウンセリングもお願いしたい」と病院から紹介されることもあります。
もちろん、「あまり連絡を取って欲しくない」というクライエントさんもいますので、ご本人に確かめながら連携していくことになると思います。
通常、紹介状などは、初回面接時に持って行くことが多いと思われます。
かささぎ心理相談室の場合は、完全予約制となっています。相談中は留守番電話にさせていただいていますので、お名前とご連絡先、ご用件を吹き込んでください。後ほどこちらからご連絡いたします。E-mailによるお申し込みの場合も、当方より一度電話などでご連絡して、初回の日時をご相談させていただきます。
また、前もって相談室の案内と相談申込み票を郵送させていただきます。
相談申し込み票には、相談内容や経緯、どうなりたいかといったことを記入する欄がありますので、少し時間を取っていただき、カウンセリングの準備をしていただけたらと思います。
初回面接
予約した日にカウンセリングルームを訪れていただきます。
待合室があるかどうか、受付に人がいるのかそれともほぼカウンセラー一人の対応となるのか、前の人の時間がどれくらいまであるのかといったことは、初回には分かりにくいかもしれません。
約束の少し前にいらっしゃる方が多いようです。その場合は、待合室か、相談室で時間まで待っていただくことになります。
悩んでおられることや問題、症状について、カウンセラーがお話を聞かせていただきます。
「ちゃんと話せないのではないか」と心配される方もおられますが、聴くことの専門家がひとつひとつ丁寧にお話をうかがいますので、安心していつものあなたのままでいらしてください。「どんなことを話そうか」と自然といろいろ想うこともカウンセリングのプロセスではありますが、あまり頭で考えないほうがいい結果を生むでしょう。
「カウンセリングで話をすること」も読んでみてください。
ご希望や必要に応じて、心理テストなどを実施することもあります。
そして、カウンセラーから、見立てと適切と思われる方法の提案をさせていただきます。
「とりあえず一回だけ相談したい」という方や、「カウンセリングを継続するかどうかはいったんもちかえって考えてみたい」「別のカウンセラーとも会ってみたい」という方もおられます。ご要望があれば、ご遠慮なく担当者にお伝えください。
一回だけのカウンセリング
「一回だけのカウンセリング」にも意味はあるのでしょうか? 一回だけで来談しなくなったクライエントたちに調査を行った研究では、これまでは「カウンセリングの中断や失敗」と考えられてきたケースで、一度だけのカウンセリングでも予想外の改善をしていることがあるということが明らかになりました(モーシィ・タルモン『シングル・セッション・セラピー』金剛出版, 2001)。
もちろん、「カウンセラーと合わない」「役に立ちそうにない」といった理由で、来談を辞める方もいるでしょう。だからカウンセラーとしては、どうすればお役に立てるかをよくよく考えなくてはいけません。けれども、来談される方にとっては一度だけのカウンセリングからいい結果を得ることも可能なのです。
関係作りや問題の荷下ろし・整理
カウンセリングを継続することになると、おおよその来談ペースを決めて定期的に通っていただくことになります。
毎週来談される方もいれば、月1回、数カ月に1回という方もおられます。最初は定期的に来談して、落ち着いてきたら、「何か相談があるときだけ」という方も多くおられます。
まずは安心して話ができる関係作りが大切ですので、心配なことやご質問・ご要望などがあれば遠慮なくカウンセラーに話をしてみてください。
これまで一人で抱えてこられた問題を話して荷下ろしするだけでも、気持ちが楽になることがあります。また、いったん荷を下ろすことで、少し客観的に眺めることができます。そうすると「この荷物は私が背負わなくてもよかった」「誰かに手助けしてもらおう」と問題解決の糸口が見えてくることもあるのです。カウンセリングというと、「聴いているだけでアドバイスはしない」というイメージをもっている人もいますが、私たちは必要に応じていろいろな視点や方法を提案させていただくことも大切だと考えています。
内面を探求する時期
問題の荷下ろしと整理ができれば、カウンセリングの目的が達成されたという場合もあります。また、自分自身の内面に目を向けて探求したい(あるいはそうすることが必要だ)と感じる方もおられます。
夢や箱庭、描画などのイメージ表現を通じて、あるいはこれまでの人生をふりかえることを通じて、〈わたし〉の物語をときほどき、語りなおすことで、自分自身をより深く理解し、あなたらしく自由に生きることを目指します。
(カウンセリングと心理療法の違いについて尋ねられることもあります。はっきりとした区別はないのですが、一般的には、困っている問題の解決などを相談するのがカウンセリングで、自己成長やパーソナリティの変化を目的としたより長期的な関わりが心理療法と呼ばれています)。
終結期
カウンセリングのプロセスや終わり方はさまざまです。何回かの面接で気持ちや課題が整理できたとカウンセリングを終える方もおられますし、時間をかけて自身の心の変容に取り組まれる方もおられます。終結については、ご遠慮なく担当者にご相談ください。
長期にわたる心理療法の終結期では、カウンセラー(セラピスト)との別れや自立といったことがテーマとなることもあります。
カウンセリングや心理療法が終わった後も、「心のうちの誰かに話しかける」「自分自身と対話する」「こころとからだの声を聴く」といったことを、ときどき続けていただけるようになるといいなと願っています。そういう習慣が身につくことで、自分自身を大切にしてより豊かに生きることが可能になると考えるからです。