神戸・芦屋・西宮のカウンセリング・かささぎ心理相談室|臨床心理士
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事故や犯罪の被害によるPTSD(心的外傷後ストレス障害)について

事故や犯罪は、生命や安全に対する大きな脅威となり、心身に傷を与えます。心の傷は「トラウマ(心的外傷)」と呼ばれています。

トラウマ体験は、被害者の生活や感情体験、人間関係などに著しい影響を与えることがあります。他者や世界に対する捉え方が一変してしまい、人生が損なわれたと感じることもあるのです。

トラウマ体験の後、情緒的にひどく混乱することがあります。恐怖や怒りなどの自分ではどうしようもない感情や衝動に圧倒されたり、自分がおかしくなったと感じるかもしれません。

でも、それはトラウマとなるような異常な出来事に対する、一般的な反応なのです。

トラウマとは

トラウマ体験とは、自分の生命や身体の安全が脅かされるような出来事を指しています。また、自分以外の人が傷つけられたり、事故や戦闘などの悲惨な場面に居合わせることもトラウマとなりうる体験です。また、家族や友人などの親しい人にふりかかった酷い出来事について知ることも、トラウマとなることがあります。

そのような出来事としては、事故や災害、殺人、性暴力、家庭内暴力、虐待、誘拐などの犯罪などがあります。

出来事に対する大きな恐怖や無力感が、トラウマ反応の引き金となります。

自然災害と比べて、犯罪被害などの他者からの加害によるトラウマは、よりPTSDなどの症状を引き起こしやすいことが知られています。

トラウマへの反応

急性期のストレス反応

被害にあった後の急性期のストレス反応としては、次のような症状が挙げられます。

1)混乱と情緒不安定

激しい怒りや大きな悲しみに圧倒される

2)ショックによる麻痺

事件のことを思い出せない、他人事のように感じて感情が麻痺する。

3)出来事が頭から離れない

事件の現場に戻るような体験をする。考えたくないのに頭から離れない。そのことに関連する悪夢を見る。

4)興奮して落ちつかない

睡眠障害や不安、イライラ。神経過敏でびくびくする。集中力が保てない。

このようなストレス反応は、「異常な事態に対する正常な反応」と言うことができます。誰しも、このような体験をすることがあるのです。

しかし、こうした症状が何日も続く場合には、お医者さんによって急性ストレス障害と診断されることがあります。症状によって生活や人間関係に支障が生じたり、苦痛が大きいときには、医療機関に相談することが助けとなるでしょう。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)

トラウマによる反応が長期にわたって続くと、PTSDと診断されることがあります。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)とカウンセリング

でも取り上げました。

そちらにも書いたように、PTSDには「回避」「侵入」「過覚醒」という3つの症状が見られます(3つの症状が1ヶ月以上続くことが特徴です)。

回避(あるいは麻痺)

感覚が麻痺したり、事件・事故に関連するいろいろなことを避けるようになります。事件についての記憶が思い出せなくなったり、人との関わりを避けて「誰にも分かってもらえない」と孤立感を感じることがあります。また、これまで大切にしていた活動や人間関係も避けがちになります。

侵入(あるいは再体験)

事件の記憶やイメージが頭から離れなくなり、出来事を生々しく想起します(フラッシュバックといって、あたかも今まさに事件の最中に呼び戻されたかのような体験をします)。

また、事件についての苦痛な夢を何度も見ることもあります。似たような状況や人に近づいたときに、強い不安や恐怖を感じます。息苦しさや震えなどの身体の反応が出ます。

過覚醒

神経過敏で眠れなくなります。悪夢などで頻繁に目が覚めたり、眠りが浅くなります。また、過剰に警戒するようになります。

イライラしたり、怒りを爆発させやすくなることもあります。

その他の反応

上記の3つの症状以外にも、次のようなトラウマ反応があるかもしれません。

自分や世界に対する見方の変化が、家族やパートナーとの関係に影響を与えることもしばしばあります。『フィアレス/恐怖の向こう側』という映画では、飛行機事故に遭った主人公が、まるで恐怖を感じなくなったかのような危険な行動をくり返し(恐怖だけ麻痺して、トラウマを再体験しつづけているかのようです)、そのために妻との関係が損なわれていく様子が描かれていました。

子どものトラウマ反応

子どもの場合は、大人のように表現することができないので、行動面での変化や、身体症状としてトラウマ反応が表れることがあります。

トラウマからの回復

トラウマは目には見えない傷だけに、周りからの「いつまでも悲しまないで」「命が助かっただけましだよ」「たいしたことないんだから、早く忘れて前向きにがんばらなきゃ」といった言葉でさらに傷つくことがあります。被害にあった本人が、自身にそのような言葉を向けて、なかなか回復しない自分を責めることもあります。けれども、身体的な怪我と同じくらい、あるいはそれ以上に、トラウマからの回復にも時間が必要です。

トラウマとなった出来事は、すっかり忘れてしまうことは難しいかもしれません。トラウマからの回復は、受け入れがたい出来事を、なんとか自分の人生の一部として受け入れていくプロセスです。

『心的外傷と回復』を書いたジュディス・ハーマンは、トラウマからの回復には3つの段階があると言いました(阪神大震災から数年後、神戸に来られたときに講演を聴いたことがあります)。

1)安全の確立

トラウマが人から奪うのは、なによりも「コントロール」という感覚です。

自分の心身の安全をコントロールできるという感覚が失われ、無力感に捕われてしまうのです。だから、最初の段階では、安全を確立して自分自身をコントロールできるようになることが課題となります。ちゃんと眠ることができる、食べることができるといった生活のコントロールや、リストカットなどをしなくても自分を保てるようになるといったことが重要です。過覚醒などの身体反応を沈静化したり、フラッシュバックなどへの対処法を身につけるといったことも含まれています。

2)想起と服喪追悼

回復の第二段階は、トラウマの記憶をストーリーとして語る段階になります。自分の身に起こった出来事をふりかえり、過去の出来事として、人生の歴史の中に統合されていきます。また、トラウマによって失われてしまったことの「喪の仕事」も必要な作業になります。

3)再結合

自分への信頼感や、他人への信頼感を取り戻し、世界とのつながりや関係を育てていく段階です。

こうした回復の道のりは、必ずしも直線的な段階として進行するわけではなく、行きつ戻りつしつつゆっくりと進んでいくものです。容易な道ではないかもしれませんが、家族や友人、専門家などのサポートを得ることで、信頼感や意欲、希望などを少しずつ取り戻していくこともできるのです。

回復のために自分でできること

トラウマからの回復に役立つことをいくつか挙げます。

『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア』という本には、トラウマの症状と回復の道のりが、「赤ずきん」の物語を借りてわかりやすい言葉で描かれています。

トラウマ体験をもつ人たちは、トラウマという「大きな過去」に圧倒されて、「今・ここ」が小さくなってしまっていることが多いのです。踊る、歌う、身体を動かす、呼吸するといったことを通じて、「今・ここ」を豊かにしていくことで、トラウマの記憶が小さくなっていきます。「マインドフルネス」のエクササイズなども効果的です。また、「今・ここ」が豊かなほど、安全にトラウマを思い出して言葉にすることがしやすくなります。

 

【参考文献・リソース】

『赤ずきんとオオカミのトラウマ・ケア』白川 美也子、アスクヒューマンケア 、2016年

『PTSDの伝え方–トラウマ臨床と心理教育』前田正治・金吉晴編、誠信書房、2012年

ひょうご被害者支援センター

 

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