カウンセリング 神戸・芦屋・西宮 臨床心理士・公認心理師|かささぎ心理相談室
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情報の過食にご用心

 スマホやタブレットが普及して、いつでもどこでも、手軽に世界中から発信される情報に触れられるようになりました。私が学生の頃には、調べものがあるときにはかならず図書館や本屋さんまで足を運んだものでしたが、今の若い人に話したら驚かれそうですね。
 何か困ったことがあったらとりあえず検索してみるというのも、ごく普通の行動になりました。ためしに「人間関係 しんどい」という言葉で検索してみると、対処の方法からおすすめ本まで、山のような情報が出てきます。これほど便利な道具はありません。私たちも日々、恩恵を受けています。
 でもときどき、調べるのをやめられなくなることってありませんか? 知りたかったことについてある程度情報は得たのに、文字を追い続けてしまう。あるいは、今それについてそれほど知りたいわけでもないのに、スマホをおくことができなる、クリックし続けてしまう。頭も目も疲れてくるのに、やめられない。
 この状態は、「お腹がいっぱいなのに食べ続けてしまう」という過食の状態と似ています。摂食障害ほど重いものではなくても、ストレスが増えるとつい食べ過ぎてしまうという人は、多いのではないでしょうか。こういうときは、身体が栄養を欲しているのではなく、何か食べたいという欲求だけが暴走している状態なので、歯止めがききにくくなります。情報の過食も、もう頭のなかは言葉で溢れているのに、脳が熱を帯びたような状態になっていて、次から次へと情報を詰め込んでしまう。ただの調べものならまだいいのですが、心配ごとがあるときには、情報が多すぎるとかえってどうしていいかわからなくなったり、不安が大きくなったりすることもあります。

 情報の過食状態になっているときには、どうすればいいのでしょうか。スマホをおく、パソコンから離れることができるなら、もちろんそれがいちばんです。でも、そうしようとするとイライラしたり、不安や焦りが膨らんでしまうこともあります。なにか他のことをしようとしても、なかなか集中できません。さらにひどくなっていくと、スマホ依存といわれる状態になっていきます。
 そういうときは、まず頭のモードを切り替えましょう。大きく深呼吸をして、外が見える場所ならしばらく遠くに視線をやります。空が見えるなら、流れる雲や、月や星を眺めます。窓がない場所なら、室内で視線を動かします。腕を伸ばして、人差し指で空中にゆっくりと∞を描き、その指先を目で追います。親指を立てて腕を前に伸ばし、親指を見つめながら首を左右にゆっくり動かすのもお勧めです。
 続いてゆったりと目を閉じます。外界からやってくる情報を処理することに偏っていた頭のモードを切り替えるために、映像を思い浮かべます。いつも歩く道や、公園、駅の構内、職場や学校など、見慣れた景色を頭のなかに再現してみてください。できるだけ細かく、色や形、空間の奥行なども思い描いてください。詳しく思い出せるなら、どんな場所でも構いません。気持ちがしんどいときなら、ほっとできる場所を思い浮かべると一石二鳥です。
 そのあとは、軽い運動やストレッチをします。大きく動けないときには、触って気持ちがいいところをマッサージしましょう。耳をやさしく揉んだり、手を指を指圧するのもいいですね。できるだけ、身体の感覚に意識を集中するようにすると、効果的です。
 以上のことを、10分くらい時間をかけてやってみてください。雑多な情報で溢れかえっていた頭のなかが少しすっきりして、スマホやパソコンから離れてなにか他のことがやれそうな気がしてきませんか? 離れることが難しいときにも、またある程度時間がたったら、同じような時間をとってください。それだけでも疲れ方はずいぶん違ってきます。手軽に情報にアクセスできる環境になったからこそ、うまく距離をとるスキルは必須です。生活の知恵として、活用してみてくださいね。

 ちなみに映像を思い浮かべる方法は、頭のなかがざわざわして眠れないときにも有効です。身体の力を抜いて、ゆったり呼吸しながらイメージを思い浮かべていると、ざわざわが静まって、眠りに入りやすくなりますよ。

(A)