カウンセリングと心理療法

Q.「カウンセリングと心理療法は同じなんですか? 違いはなんですか?」

「カウンセリング」「心理療法」「精神療法」など、いろいろな呼び方がありますが、何か違いがあるのでしょうか。

A.実はどれも似ているところが多いので、厳密に区別されることは(とくに日本では)少ないのですが、少し言葉の定義をしてみましょう。

“psychotherapy”という言葉の訳が、「心理療法」あるいは「精神療法」ですが、日本では臨床心理の専門家が行なうものを「心理療法」、精神科医が行なうものを「精神療法」と呼んできました。

ですから「精神療法」は、病院などの医療機関で行なわれることが一般的です。対象となるのは、うつ病や双極性障害、統合失調症などの精神疾患をもった比較的、病態の重い「患者(patient)」が対象となります。治療の期間はより長くなることが多いでしょうし、薬物療法や入院などのその他の治療と組み合わせて利用されるのが普通です。

また、臨床心理士などによる「心理療法」は、「比較的長期間にわたって、治療やパーソナリティの変化・成長などを目的に」行なわれる心理的なセラピーだ、ととりあえず考えておいていいでしょう。

「カウンセリング」は、美容などの分野でも使われていて、ずいぶん幅広くて曖昧な言葉です。

カウンセリングは、ラテン語の”counsel”という言葉に由来しています。counsel は「相談する」「助言する」といった意味で、進路相談や職業相談の分野で用いられ始めました。

その後、カール・ロジャースによって、指示したり治療を施すのではなく、クライエントのもつ回復力や成長していく傾向を促進するのがカウンセリングだと考えられるようになりました。

一般的な「カウンセリング」のイメージも、カウンセラーはよく傾聴する人ととらえられていると思います。

学校や公共機関などでは、「カウンセリング」「カウンセラー」「教育相談」といった言葉が用いられることが多いでしょう。また、一般的には、カウンセリングの実施機関は心理療法と比べて短期間になる傾向があります。

そういえば「心理相談」という言葉もありますね。

カウンセリングとほぼ同じような意味合いで用いられていますが、「心理的なことの相談をするところ」とよりイメージしやすいかもしれません。

神戸・芦屋・西宮のカウンセリング:かささぎ心理相談室

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