自分に合うカウンセリング、カウンセラーの選び方
この記事は「相談先はどこ? 失敗しないカウンセラーの探し方、選び方」から一部を抜粋して書き足したものです。
でも紹介したように、スクールカウンセラーや公的な相談機関、命の電話などのボランティアほか、無料で相談できるところも増えてきました。
しかし、有料のカウンセリング機関や、開業カウンセラーを選択することにもメリットがあります。
これまでの人生をふりかえって、今後の生き方の指針を探したい、自分自身をしっかりと見つめ直したいというときは、開業カウンセラーによる心理療法が適していることも多いでしょう。
けれども、「どう探していいか分からない」「どういう基準で選べばいいのか」といった問題もあります。
インターネットで「カウンセリング 神戸」「カウンセリング 大阪」といったキーワードで検索すると、たくさんのカウンセリングルームがヒットします。
あなたに合った民間の開業カウンセリングルームやカウンセラーを探す際に、どんなところに気をつければいいかということをまとめてみます。
Contents
カウンセラーの臨床経験と専門
ホームページでカウンセラーのプロフィールを読んでみましょう。
電話やメールなどで、「カウンセラーの専門は何か? どんな領域の経験があるか」を尋ねてもいいでしょう。
臨床心理士や産業カウンセラーといった資格が、カウンセラーがどのようなことを勉強してきたかというひとつの目安になります。カウンセリングスクールで数週間講座を受ければ取得できる「資格」から、大学や大学院で何年かまなばなければならないもの、あるいは学会での発表や個人分析、スーパーヴァイズなどの厳しいトレーニングが義務づけられているものまでさまざまです。
詳しくは、カウンセラーの「資格」を参照してください。
信頼できそうな「資格」をもっていたからといって、「あなたに合う」カウンセラーとは限りません。資格がなくても、優れたカウンセラーはいます。
なかにはほとんど経験もなく、独学に近いかたちで「カウンセラー」として開業してしまう人もいるので、「資格」はいちおうの目安にはなります。
「自分が○○を克服したので、うつのカウンセラーになりました」
といった「経歴」をときどき見かけることがあります。
もちろん、個人的な問題や悩みを乗りこえることが、他の人を援助する際に役に立つことはあるでしょう。
しかし、重要なのは大切なのは個別的な体験をある程度普遍的なスキルにつなげていくことです。
そうでないと、ひとつの視点からしか物を見ることができずに、カウンセラー自身の経験や「解決法」を押しつけてしまうことになりかねません。
そのためにどんなトレーニングや臨床経験を積んできたかもあわせて尋ねてみましょう。
カウンセラーの「専門領域」が何かを知るには、たとえば「所属学会」などを聞いてみるのも方法です。
「認知・行動療法学会」に所属している、あるいは「精神分析学会」だとか「箱庭療法学会」だとか、「ゲシュタルト療法学会」などの会員であれば、それぞれの学派やアプローチを学んできたカウンセラーだろうと考えることができます。
また、論文や著書があれば、読んでみてもいいでしょう。けれど、たくさん本を書いているからカウンセリングの能力が高いというわけではないですし、文章を先に読んでしまうことで、先入観や期待が大きくなりすぎるのもあまりよくないかもしれません。
ホームページやブログに、カウンセラーの経験や考え方、アプローチなどについて記載しているところも多いので、それも参考になるでしょう。
かといって、たくさん資格があって、精神分析も行動療法も催眠もなんでもできますというのも、どうかなと思います。どれかひとつをマスターするだけでも、かなりの経験や勉強が必要だからです。
「臨床経験」については、率直にカウンセラーに聞いてみてください。
精神科などの病院臨床が長い人であれば、うつ病や不安障害、あるいは統合失調症といった精神疾患をもった人との関わってきた経験があるということになります。精神疾患のある人のカウンセリングは、やはりそれについての知識や経験が必要ですし、ときに精神科や心療内科と適切な連携をもつことだって求められます。
スクールカウンセラーの経験が長い人でしたら、不登校やいじめなどの相談にたくさん対応してきたということでしょう。
あんまり質問攻めにするのもよくないですが、あなたにとって大切なことはちゃんと聞いた方がいいでしょう。
「夫婦関係の問題に対応してこられましたか?」「強迫性障害(あるいは摂食障害やパニック障害など)のケースはどれくらい経験しましたか?」といったことを尋ねて、率直に答えてくれるか、誠実に対応してくれるかどうかを確かめてみてください。
カウンセラーとの相性、人柄など
カウンセラーの人柄や、カウンセラーとの相性は、やはり気になるでしょう。
相談によっては、異性のカウンセラーには話しにくいこともあるでしょうし、年齢などが気になることもあるかもしれません。
「女性のカウンセラーがいるから」
「写真や文章を見て、なんとなく合いそうだから」
「電話で話したときの声のトーンが穏やかだった」
といったような印象で選ぶのも、もちろんありです。
また、実際に合ってみたときの印象で、カウンセリングを続けるかどうかを決める人もいます。
思春期の心理臨床などでは、ときどき「new object(新しい対象)としてのカウンセラー」と言うこともあります。これまで出会ったことのないようなタイプの人物に出会うことが、子どもの成長にとって意味があるというような文脈で語られます。
大人の人にとっても似たところはあるかもしれません。信頼できそうな安心できる人柄で、それでいて、少し意外性もあるようなカウンセラーと出会えると、いい変化が起きやすいでしょう。
「カリスマ的なカウンセラー」なんていう人もときどき見かけますが、個人的な見解としては、「カウンセラーにはカリスマ性なんてあんまりいらないんのではないか?」と思っています。
「カリスマ・カウンセラー」になったことも言われたこともないので、実際のところは分かりませんが、むしろ、邪魔になることの方が多いんじゃないでしょうか。カウンセリングの主体はあくまでクライエント(来談者)です。
また、カウンセリングは、人生の舞台裏です。
クライエントは、また日常生活に返っていかなくてはいけません。
だから、用が済んだらカウンセラーはぽいと捨てて立ち去ってもらうということも大切なのです。
このあたり、カウンセラーとクライエントのもつ関係の独特なところで、とても親密に、プライベートなことを話したり、聴いたりする仲でありつつ、そこには料金という「水臭い」「ドライな」ものも介在していて、時期がくればあっさりと離れるのです(言葉はちょっと悪いですが、「後腐れない」という言い方もできます。余談ですが、「水臭い」と「ドライな」という水分に関する言葉が、どちらも情が薄い、他人行儀だという意味合いをもっているのは、面白いですね)。
もうひとつ大事なポイントとして、カウンセラーは親しい友人や仕事その他での関係のない「他人」であるほうが望ましいでしょう。
日常的、現実的な関わりや利害関係があると、プライベートなことを安心して話しにくくなりますし、カウンセリングにも影響が起こることがあります。
相談室の場所や構造
通いやすい場所にあるかどうか、駅などの交通機関からのアクセスはどうかといったことがまず確かめたいところでしょう。
人によっては、「あんまり近所だと話しにくい」ということもあるかもしれません。
また、「このカウンセラーがいいから」ということで、遠くから通ってきてくださることもあります。
ときどき、カフェなどのカウンセリングルーム以外の場所でカウンセリングを行っているところがありますが、原則としてはこれは望ましくないでしょう。
また、たとえばクリニックやサロンのように開かれた感じのところがいいのか、ひっそりと目立たないところがいいのか、といったことも選択の基準です。
ビルのワンフロアにあって、看板も出ていて、受付もあるカウンセリングルームは、よりオープンで公的な印象を受けるでしょう。
マンションの一室に、看板も目立たないようにして開室しているカウンセリングルームは、よりプライベートなカウンセリングを行なっていると感じられます。
ホームページに掲載された写真などがあれば、カウンセリングルームの雰囲気が伝わってくるでしょう。個人開業のカウンセリングルームは、カウンセラーの個性や考え方が反映された場所になっています。
料金とシステム
「1回だけの相談」ということもありますが、一般的にはカウンセリングは数回〜15回くらい、あるいは数年にわたって通い続けることになります。
毎週の人もいれば、二週か三週に一度、月に一度、クライエントの希望や状況によって、あるいはカウンセラーの考え方によっても頻度は変わってきます。
カウンセリングの料金が、支払うことのできる額かどうかということが、まず選択の基準になります。
料金システムが明確かどうかということもポイントです。「キャンセル料」や「延長料金」については、前もって確認しておくことが必要です。場所によっては、チケット制や前払い制を取っているところもあるようですが、高額な料金を事前に要求するようなところは避けたほうがいいと思います。
カウンセリングの料金が高額であれば、それだけ質のいいカウンセリングを受けることができるというわけではありません。先ほども書いたように、料金の相場は、一般的には5000円〜15000円くらいの範囲に入ることが多いですが、カウンセラーの経験やカウンセリングに要する時間や方法によっても異なってきます。
逆に、安ければいいのかと言われると、そうでもありません。
カウンセラーがその料金でちゃんとカウンセリングルームを運営して、生活できているかどうかという現実的な枠組みが、カウンセリングのプロセスにも影響を与えるからです。
アメリカの精神科医のハリー・スタック・サリヴァンは、「いちばん信頼のおける治療者は日々の糧のために働く治療者だ」と言いました。
問い合せと申し込み
多くのカウンセリングルームは、予約制となっています。
電話やメールで、最初のコンタクトを取ることが多いでしょう。
まずは、相談したい内容や、希望の日時、カウンセラーへの要望などを簡単に伝えます。あなたの悩みや問題に、そのカウンセリングルームが対応できるかどうかということも確かめましょう。
また、料金や時間、事前に用意するものがあるか、といったことも確認します。
こういったやりとりのときに、しっかりと誠実に対応してくれるかどうか、カウンセラーの雰囲気はどうか、といったことを意識しておくといいと思います。
対応に疑問が残る、どうも合わないと感じるという場合には、「やっぱりもう少し考えてからにします」と断ったっていいのです。
かささぎ心理相談室では、事前に「相談申し込み票」をお送りして、相談内容やこれまでの経緯、どうなりたいかといったことを書いてきていただくようにしています。クライエントにとっては、相談内容を自分で少し整理する機会になると思いますし、カウンセラーも必要なことをもらさず知っておくことができるからです。
カウンセリングに申し込むというアクションを起こしたことそのものが、クライエント自身が問題解決に向かって一歩踏み出したということでもあります。
初回の面接のとき
予約した時間の少し前に、カウンセリングルームを訪ねます。遅れそうなら、電話などで連絡しておいたほうがいいでしょう(遅れると、それだけ相談する時間が短くなります)。
カウンセリングが始まったら、いま困っていることや、悩んでいること、問題について話してください。うまくまとめなくても、感じたままに話せばいいのです。
どんなふうに話せばいいか、うまく話せるかと迷っている方は、
も読んでみてください。
ひととおり話した後は、カウンセラーの意見を尋ねてみましょう。今、あなたが話した困りごとを、カウンセラーはどのようにとらえたのか、カウンセリングで手助けすることができそうなのか、だとしたらどんなふうに取り組んでいくといいと考えているのか。
こういったカウンセラーの「見立て」を聞いて、料金や頻度について話し合い、納得すれば、カウンセリングを継続するということになります。
もちろん、「今日はとりあえず相談したかっただけなので、今後どうするかは持ち帰って考えたい」ということで終わってもかまわないのです。ここで「次回の予約」を無理に取ろうとするカウンセラーは、あまりおすすめしません。
「やはり女性の(あるいは男性の)カウンセラーのほうが話しやすい」
「自分の悩みや症状には、医療機関のほうが適しているのかもしれない」
といった希望があれば、それを率直に伝えてください。
必要に応じて、別のカウンセラーや病院を紹介してくれると思います。
カウンセリングのご案内
かささぎ心理相談室のカウンセラーはいずれも医療や教育などの幅広い領域における経験の長い臨床心理士です。
カウンセラーの経歴や考え方については、カウンセラーの紹介をご覧下さい。複数名の臨床心理士が在籍していますので、ご本人とご家族のカウンセリングを並行して行なうことも可能です。また、「カウンセラーと合わないと感じる」「他のカウンセラーに交代してほしい」といったご要望に応えることもできます。もちろん、「どう接したらいいか」といったご家族の相談も承っています。
カウンセリングルームは、兵庫県芦屋市のJR芦屋駅から徒歩3分ほどのところにあります。神戸・三宮方面、大阪・尼崎・西宮方面からもアクセスしやすい場所です。
料金
料金:8000円(50分)、初回は80分10000円。
各種保険は適用されません。各回ごとに担当者に直接お支払いください。
開室日・時間
開室日:月〜土
午前:10時〜13時
午後:14時〜18時
研修や出張等で不在のこともあります。18時以降、日曜日のご相談は、担当者にお問い合わせください。
予約・お申し込み
完全予約制ですので、前もってお電話かメールでお申し込みください。
カウンセリング中は留守番電話になっています。お名前、ご用件、ご連絡先を吹き込んでいただければ、折り返しご連絡いたします。
どうぞお気軽に、お問い合わせください。