赤子のように学ぶ

最近、知人の子どもさんが立ち上がったとか、歩き出したというお知らせを見ることがいくつか重なりました。その度に思うのが、赤ちゃんの学ぶ力ってすこいなあということ。まったく新しい体験に物怖じもせず、好奇心いっぱいで、しかも余計なことはいっさい考えずにチャレンジする姿勢は、私たち大人が忘れてしまっていることのひとつじゃないかと思います。

これはゴッホの『最初の一歩』という絵。

よちよち歩きの子を、お母さんが後ろから見守って、お父さんが「こっちおいで」と誘っています。
発達とか成長には、後ろで支えてくれる人と誘う人、どちらも必要だということがよく表れているように思います。
「這えば立て、立てば歩めの親心」なんてことばがありますが、あんまり先へ先へと誘いすぎても転んでしまいます。
ちゃんと支えてもらっているという安心感があってこその最初の一歩。

歩き出すよりちょっと前、寝返りだって赤ちゃんにとっては大事業です。何年か前、フェルデンクライス・メソッドというボディワークのクラスにときどき通っていました。簡単に言うと先生の言うとおりに手を上げたり足を曲げたりするだけなのですが、「うわあ、自分の身体はこんな風につなかってたんだ」とか「ここをこうすると楽なんだ」といった驚きや発見から学ぶことが、たくさんありました。今でも印象に残っているのが「寝返り」のレッスンです。赤ん坊が始めて寝返りの仕方を学ぶように、できるだけ力を入れずに頭の重さだとか肩や背中の骨格だとかを使いながら寝返りを試みます。いつもは何気なくしていることでも、「力を使わずに」となるとこれがなかなか難しい。さんざん苦労して、そうか苦労するのが間違いなんだと気がついて、コロリと回れたときはなんとも嬉しいものでした。

ちょうどいい寝返りの動画があります。

こうして見ていると、ちょっと大げさかもしれませんが、寝返りやハイハイ、二本足歩行を発見していくという過程は、一人一人の子どもにとっては人類が月に一歩踏み出したのと同じくらいの偉業に違いないと思えてきます。赤ちゃんの学び方・問題解決の取り組み方というのは、人からどう見えるかとか、失敗したんじゃないかなんてことはまったく気にしていないようで、とにかく楽しそうです。大人になってからもこんなふうに学ぶことができると嬉しいですね。(久)

 

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